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「平成の表現狩り」弁護士・山口貴士氏のblog [アニメ・マンガ・小説]

先日、ネッ友のひでこさんから教えて頂いた、弁護士・山口貴士氏のblogで
先日絶版になった原書房刊の飛鳥部勝則:著『誰のための綾織』の検証サイトの事が書かれていました。

http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/

氏は検証サイトを立ち上げられた人に対し、
>このサイトの作者が何をしたいのかよく分かりませんが、自らの行為が表現行為を萎縮させ、表現文化の圧殺の一端を担っているということはよく自覚して頂きたいと思いますし、サイトの作者には、「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉を捧げておきます。
と表現されています。
さらに、
>追記①憲法21条が表現の自由を保障している以上、「原則は自由」です。著作権法その他の法令に違反しない限りは、創作活動に制約を加えるべきではないというのが私の立場です。
これは私も全くの同意見ですが、(自分がオリジナルと言い切ることこそ、傲慢だと思います。)その次の文章に
>出版社や作者もこのような検証サイトに安易に屈するのではなく、はっきりと、言い分を主張して欲しかったと思います。
とあります。
この検証サイトを今回の絶版騒動のきっかけになったと表現しておられますが、なら、その検証サイトの類似表現のみで判断している氏の行為はどうなのだろうと…。

私は、検証サイトだけではわからない、その文章たちがどういうシチュエーションで使われているかを知る為に、本書を読みました。
前後の状況がわからな以上、確かに類似しているというにはあまりにもそのまんまな文章ではありますが、軽はずみな言動は避けるべきだと・・・。

昨日、氏のスレッドに対し、3件のコメントがあり、この問題に関しては【続編】を書く予定なので、それを見た上でコメントを考えて欲しいという氏の書き込みがありました。

そして、今日、公約通り、【続編】がUPされました。
私が【続編】で氏が書かれた文章で一番引っかかったのが
>③ 表現の歴史は「パクリ」、すなわち、模倣や真似に代表される先人の作品の利用の歴史であることを忘れてはならないし、先人や先人の作品から影響を受けない表現者は存在しないということを踏まえた議論がなされるべきです。「俺のアイデア!」、「大好きな**先生の作品!」に代表される表現者あるいはファンの既得権意識ないし独占意識は自由な表現活動を阻害すると考えます。   したがって、著作権に抵触しない形で先人の著作をうまく利用するのは、表現者の「技」であり、原則的に、倫理的、道徳的にも問題はないというべきであり、著作権を侵害しない作品について「パクリ」、「盗作」呼ばわりする姿勢には疑問を感じます。
という件です。

今回のことは、まさに!表現者の「技」に帰結することだったのに!!
自分の好きな作家の模倣や引用はパクリではありません。
それをいかに消化して、自分の文章にするかがプロの作家としての技術であり、腕の見せ所であると思います。
今回の飛鳥部氏の作品には、その努力を怠ったか、あるいはあまりにも表現力が未熟というか、引用した文章を消化しきれず、(消化するにはあまりに膨大な量だったので、消化不良を起こしたのでしょうね、きっと・・・。)盗用といわれても仕方が無い状態になってしまったのだと思います。

そして、飛鳥部氏は一旦削除された自サイトですが、11月11日付けで謝罪コメントをUPされました。(ann-eさん、リンクありがとうございます。改めて、こちらに再リンク貼らせて頂きます。)

http://www.max.hi-ho.ne.jp/s3k1/a/

今回は素直に非を認め、関係各位に陳謝しておられます。
飛鳥部氏が盗用と認めた以上、検証サイトは『表現狩り』には当たらないと思いますが・・・。

蛇足:山口氏はこの件に関し、【続々編】を書く事を表明しておられます。


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コメント 5

いかさん

 この問題、難しいですね。
 山口弁護士って松文館事件の時にずいぶんと活躍された方ですよね、同姓同名でなければ(ポルノコミックについての議論はここでは関係無いテーマなので、触れませんが)。マンガやオタク文化に関しても理解や造詣が深い方だと思っているので、この見解は少々(私としては)意外でした。
「表現」の歴史はパクリの歴史、ということは本筋ではあっていますが、更紗さんの言われているように「パクリの技」の問題でしょう。
例えばここでもおなじみの「アストロ球団」。同じ時に生まれたボール型の痣を持つ9人の野球超人は「里見八犬伝」大門と球三郎の兄弟の確執は旧約聖書の「カインとアベル」という先人の作品の影響だということは言えます。が、これをもって「アストロ」はパクリ、と言えますでしょうか?別に里見八犬伝の著者が何百年前に死んでいるとか、聖書は作者不詳だから、という理由ではなく、あくまで過去から今に連綿と続く物語の膨大な蓄積の上に載ったオリジナルであるという証明だと思えます。

 これは私の推測ですが、山口弁護士はあくまでネットの検証サイトだけを読んで判断を下したのではないでしょうか? 確かに今ネットのいうものは新しくできたメディアだけあって、コントロール機能が整備されておらず、それによってさまざまな問題が起きています。また、過去に表現の自由と戦った経緯もあり、これについてはセンシティブになっている点もあってのフライングかな、と思います。出版元がさっさと絶版にしてしまったこともあるのでしょうね。
 ただ、これを例えば公権力による弾圧やかつての言葉狩りといっしょくたにするのは、うまう言えないけれど、やっぱちゃうんではないのかな?と思う。
 飛鳥部氏の作品を読んでいないので、こういうのなんなんだけれど、うまく所在として作品に組み込んでいれば、はみだしっ子ファンは「あ、この人、はみ出しっ子読んでたな、それもかなりコアだぞ」と同士的連帯は感じても、今回のような騒動にはならなかったと思うんです。

 影響と剽窃の協会はどこか?というと、トレスと目トレスほど、はっきりと証明できないのが難しい境界ではあるのでしょうが。
 
by いかさん (2005-11-13 17:27) 

更紗

うん、一応、山口弁護士、はみだしっ子は“まんだらけ”で買って読んだそうです。
で?誰のための綾織は読まれたのか???疑問です。
読んだとはblogには書かれていません。

>
はみだしっ子ファンは「あ、この人、はみ出しっ子読んでたな、それもかなりコアだぞ」と同士的連帯は感じても、今回のような騒動にはならなかったと思うんです。
そうなんです、まさに三原ファンはその事を思っているのです。
同じ三原ファンなのだから!!
「クスッ♪」と笑えるような引用だったなら・・・。
今から言ってもあとの祭りですがね。(苦笑)

フランクファーターって実在するんだ・・・って思いました。
by 更紗 (2005-11-14 21:45) 

full-moon_city

私が思うのは、著作権というものは、「オリジナリティ」を守るためのものではないのかということなんですね。
作品が生まれると同時に発生するにも関わらず、非常にその権利の所在があやふやな著作権の関しての法律というのは、表現の自由を制限するための法律ではなく、オリジナリティにリスペクトを示すためのものではないのか、と言いたい。

オリジナリティとはなんぞや、ということで今回の飛鳥部氏の作品と三原氏の作品が対比され、その上で出版社と飛鳥部氏が結論を出したことで、私は少なくとも出版社と飛鳥部氏は三原作品のオリジナリティにリスペクトを示し、かつ、同時に飛鳥部氏は自分が創作するもの(これまでの、そしてこれからの)に対してのリスペクトを示したということではなかったかと思う。

多分、世論も、出版社も、恐らくは作家自身も、そのオリジナリティについての議論で今回の結論を出したのだと思うのですが、そこへ「表現の自由」ということを持ち込むと非常にややこしくなるのではないか、と(笑)。弁護士が法廷で弁証するのにひとつの手段として持ち出すには有効だということはわかるのですが。

さて、『もしも』を入れこむともっとややこしくなるのですが、ここで、もしも、三原作品の大ファンでかつ三原氏と非常に懇意な法律家が、今回のケースを見た場合、必ずしも山口弁護士と同じ結論に達するとは限らない、ということはありえるでしょうね。

>更紗さん
「弁護士は必ずしも絶対善のためには存在しない」というのが、私の法学の師の言葉です(笑)。そして「法律は非常にアバウトなもので、そうでないと、そのときその場で弱いものに味方するためには、ハンドルでいう「アソビ」がないと困るでしょう?」とも。
「僕は、フランクファーターになれる」という言葉、今の私の年齢なら言えます(笑)。
by full-moon_city (2005-11-14 22:22) 

miyuco

>フランクファーターって実在するんだ・・・って思いました。
作家さんの最新のコメントを見て私もそう思いました。
出したり引っ込めたりしたコメントの最後にホンネが出ましたね。
こういう方なんだとよくわかりました。
世間知にたけていない方なんでしょう。
これでは、フランクファーターの餌食にされてしまいそう。
弁護士さんのほうが役者が上です。

更紗さん、ほんとうにお疲れさまでした。
by miyuco (2005-11-16 08:40) 

更紗

Ann-eちゃん
>ハンドルでいう「アソビ」がないと困るでしょう?
うわ!すっごいいい表現だ!!
まさにお師匠さんの仰るとーりですね。
山弁は自分の言いたい事だけ言うと、さっさと舞台を降りてしまったようですね。
管理人のくせに、話しが変な方に逸れていって久しいのに、修正しようともしないしね。(-"-;

私が今思うのは、飛鳥部氏、絶版が納得いかないと戦う姿勢を明記してますが、彼、盗作と言われた本を本当に愛しいと思っているのかな?と…。
自分も一応、三原順さんの言葉を盗用したと認めているのに、それでもそれは自分が書いた可愛い小説だからがまんならないんだろうか?

なにより、あんなにいっぱい使うとバレるとマジで思わなかったのかなぁ・・・。

ミステリーファンの三原ファンは少ないだろうけど、少なくとも三原ファンでミステリーファンはかなり多いと思うんだよね。
三原さん自身大変な読書家なのは有名なわけで、彼女の影響をモロに受けた三原チルドレンは大抵読書家なんだよね。バレるよ!!(^^;

miyucoさん
>出したり引っ込めたりしたコメントの最後にホンネが出ましたね。
そして、その後のコメントは一切ないんですよ。
言いたい事を言い切ったので後は好きにやってくれ!ってな感じで、もう次のエントリーを立てているし・・・。
彼の中ではあの問題はもう終わったんですね。
人の意見を聞くでもなく、自分の言いたい事を言ったら終わり!

だからあそこではもう何も書くことはないです。
たとえ、自分の文章を脚色されていようとも(苦笑)
by 更紗 (2005-11-17 23:17) 

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